ふるきよきじだい
「あなたにとって伝説のバンドは?」
このような質問をされたら僕は、
「ふるきよきじだいです」
と答えると思います。
そしたら質問をしてきた人は困惑した表情をみせながら、
「ふるきよきじだい? ええと、それはバンド名なのでしょうか?」
と訊いてくると思いますので僕は、
「はい、そうです」
と答えて、質問をしてきた人は、
「そうなんですか。はあ」
なんて曖昧な相槌を打ってそれきり会話は途絶えてしまい、
「じゃあ」
「まあそういうことで」
みたいに気まずい雰囲気のまま別れることになると思います。
こんなふうにほとんどの人が知らない、けれども知っている人にはカルト的な人気を博するバンド。ふるきよきじだい。
僕がふるきよきじだいを知ったのは2010年代の半ば。
国側の悪政に、国民がデモや選挙で抵抗する余地のまだ残されていたころでした。